浜名湖ならではのたきや漁

 浜名湖ならではの漁法がある。たきや漁だ。暗くなってから出漁し、舟の舳先(へさき)に水中灯を吊るす。一昔前は、松明をかがり火とした。獲物を銛(もり)で突く、いたって原始的なところがいい。銛の先は七、八本に分かれている。水深の浅い所で行うので、獲物がすぐそこに見えている。魚は眠っているように見えるので銛を突く。ところが魚もそうそう簡単にはつかまってはくれない。銛の動きを瞬間に察知するのであろう。もうひとつ難しいのは屈折率だ。魚を狙ったつもりが、違う場所を突いていることが多い。
 皇太子(明仁天皇)ご一家が、奥浜名湖で夏休みを数年間過ごされた。昭和44年の7月にお越しになられた時に、たきや漁を楽しまれたという記録が残る。たきや漁の漁師たちも、獲物がなかったらどうしようと心配したのではないだろうか。
 エビ、ハゼ、黒ダイ、カレイなどのほかカニも獲れる。漁獲が少ない時には船頭が、プロの腕前でその分を確保してくれるであろう。舟を筏に着け、獲ったばかりの獲物を刺身や天ぷらでいただく。新鮮そのものであるから、ことさらうまい。
 さて、お値段が気になるであろうが、雄踏町たきや漁組合の場合、一艘(そう)の定員は四人で料金は2万7000円。調理してもらってその場で食べる場合には、3000円加算となる。獲れた魚などはすべて持ち帰ることができる。これが安いか、高いかはご判断を。ただし、腕がよく条件がよければ、鰻やドーマンが獲れないとも限らない。カニを狙うのであれば月明りがない時、つまり新月の夜が最適だ。
 たきや漁は人気があるのと、天気などの制約がある。いずれにしろ予約をしておいたほうが無難だ。少しずつ舟を進めながらの漁なので、あまり身を乗り出すと水中にドボンということがある。泥酔者もお断りとか。
 たきや漁は春から晩秋にかけて、浜名湖の夜の風物詩である。


同じカテゴリー(農漁業、グルメ)の記事
浜名湖のミニ知識
浜名湖のミニ知識(2014-08-11 02:20)

浜納豆と忍冬酒
浜納豆と忍冬酒(2014-08-02 02:15)

みそまん物語
みそまん物語(2014-07-28 02:48)

夜の銘菓うなぎパイ
夜の銘菓うなぎパイ(2014-07-12 03:11)

上の画像に書かれている文字を入力して下さい
 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。

写真一覧をみる

削除
浜名湖ならではのたきや漁
    コメント(0)