一度は食べてみたいスッポン

 スッポン(鼈)は川や沼に生息し、古くから食用として珍重されてきたようだ。ただし天然ものの流通量は極めて少ない。
 スッポンの養殖の研究は、明治期の初めころからされてきた。明治10年に、東京・深川で服部倉治郎が人工孵化(ふか)に成功したとされる。その後、明治33年、倉治郎らは浜名湖の地で服部中村養(よう)鼈(べつ)場を創業し、本格的なスッポンの養殖が始まる。雄踏の旧家・中村家の助力があり、その名が付いている。
 生産量は浜名湖産が日本一を誇る。スッポンの養殖は鰻と同じように、他の産地でも行われるようになった。ただし、京都などの割烹料理店では服部中村養鼈場のスッポンが使われているようだ。老舗にはそれだけの歴史といいものへのこだわりがある。
 形は亀のようであるが、甲羅の表面は柔らかく角質ではない。それと亀には六角のいわゆる亀甲紋があるが、スッポンにはない。噛み付かれると「雷が鳴っても放さない」といわれる。性質は臆病なのだそうで、昼間は養殖池の水底に潜み夜になると活動する。寿命は100年くらいであるというから長寿である。
 スッポンは滋養価が高く、アミノ酸、カルシウム、ビタミンが豊富。スッポンのコース料理では、鍋、雑炊、スープ、はたまた食前酒として生き血をワインなどで割って飲む。高級料理のひとつであり、割烹料理店などで注文すれば当然のことながら値段もそれなりを覚悟しなければならない。
脂が乗ってうまいのは、冬眠する11月から翌3月を除いた期間である。フルコースでは料金が心配という方のためには、スープや雑炊セット、鍋セットも商品化されている。
 なお、毎年8月に市内の佐鳴湖でスッポンの供養祭が料理店や関係者などにより行われ、稚魚が放流される。同じように鰻も供養が行われているので心配ご無用。


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この記事へのコメント
平成24年に自費出版されたようですが、谷島屋でもTSTAYAでも見つかりませんでした。今でも手に入れる方法がありましたらご紹介いただけると幸いです。
ブログ記事は同内容のようですが、やはり本の方がなじみますのでお聞きします。
Posted by 陶酔人陶酔人 at 2014年06月17日 22:50
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